「訪問をやるならコミュニケーション能力は必須!」
これはよく聞かれる話ですので、ちょっとでも訪問看護に興味がある方ならどこかで目にしたり耳にしたりしたことはあるでしょう。
一般論として、それはかなりの部分で正解です。
利用者様のご自宅にお伺いする際、多くのケースでは一人で訪問します。そこでどう振る舞うのかはもっとも重要な要素の一つです。いくら技術的に長けている看護師やセラピストでも、コミュニケーションのとり方次第で利用者様からいわゆる「NG」が出てしまうこともしばしばです。
他にも、コミュニケーション不足で生じる弊害がたくさんあります。
こういった弊害が出てしまっては、訪問する意味さえわからなくなってしまいますね。
これは一概に「No」とは言えません。苦手であるということと実際の対応とは、それはそれでまた異なる話だと考えてください。
コミュニケーションができるかできないかは、もともとその人が持っている資質に関わることもあれば、経験によりスキルとして伸ばしてきた部分も大いにあります。つまり、もともと社交性があるかどうかはさほど問題ではなく、これからどうやってコミュニケーション力を伸ばしていこうかという、取り組む気持ち次第で育んでいけるものでもあるということです。
周りを見渡してみてください。
「あの人は話し方は上手じゃないけれど、一生懸命さが伝わって好感がもてるよね」
「あの人は普段は面白くて話しやすいのに、患者さんからはあまり好かれていない感じがするね」
といったように、話が上手かどうかだけがコミュニケーションではないのです。
「誰からも好かれるいい人」にたまに出会うことがあると思いますが、そんな人しか訪問看護で働けないなんてありえない話です。いくらコミュニケーションが苦手だったとしても、自らそれを克服していこうという気持ちと、実践的にそれを解決できる環境さえ整っていれば、経験が人を変えていくこともできるのです。
コミュニケーションに不安があるという理由で、こんなにもやりがいのある訪問看護への道を諦めてしまうのは非常にもったいないです。働いてみたい訪問看護ステーションが見つかったら、そこの担当者に素直に相談してみましょう。
「私はコミュニケーションが苦手です。それでも現場で役に立てますか?」
「心配ないですよ」という返答がほぼ100%返ってくることを断言します。それだけの理由で落とされることはありませんし、逆に言えば、「それだと無理ですね」と返答するようなステーションで働くあなたに良い未来はありません。「うちはまともな教育ができませんよ」と言っているようなものですから。
訪問看護で働けば、そこにはコミュニケーション能力に長けた先輩がたくさんいます。環境が人を慣れさせますし、そういった訪問の先輩方を見ながらスキルを養っていくことができます。そういった人たちも最初からコミュニケーション上手だったかといえば、必ずしもそうではありませんから。
看護技術と同じで、コミュニケーション能力だってあとから育んでいくことが可能です。勇気を持って門を叩いてみてください!