訪問看護への転職では充実した研修体制が整っているかチェックすべし

 訪問看護の求人にかかわらず、一般的な求人サイトで集めようと思ったときに得られる情報は限られます。字数制限や項目が決まっているからです。紹介会社から情報を得ようと思ってもすべてを把握しているわけではありません。
 その中でも「研修」についてはもっとも見えない情報の一つです。訪問看護ステーションで働くにおいてなぜ研修が大切なのか、研修に重きを置く事業所をどうやって見つけられるかをお伝えしていきます。

訪問看護で働くために研修がとても重要になってくる理由

 病院などへの転職でも当然ながら研修は必要ですが、ここでは訪問看護への転職に充実した研修が必要な理由についてざっと並べてみたいと思います。

ルールが特殊であるから

 訪問看護には介護保険を利用しての訪問、医療保険を利用しての訪問、保険を使わない自費による訪問の3つに大きく分類されます。自費訪問はレアですので大きく2つと考えてよいでしょう。保険を自由に選択できるわけではなく、それぞれの制度のなかでルールに基づき保険が選択されます。介護業界で働いている方ならまだしも、訪問看護業界に転職する専門職の多くはここで初めて介護保険というものに触れることになります。また、同じ医療保険でも、病院で扱う医療保険の場合は現場で「コストをとる」くらいに限られるケースが多いでしょう。細かい数字は管理職になってからということがほとんどです。
 これが訪問看護になるとちょっと変わってきます。管理者でなくても保険というものに触れる機会が多いですし、訪問先でいろいろ聞かれるのはそこに訪問した専門職自身です。事務方がいれば回すのも構いませんが、基本的なことならすぐに答えられるだけの知識を持っていることが望ましいところです。研修の場でしっかり理解することが必要です。

現場環境が訪問先によってまったく異なるから

 病院や施設ではそこに対象が入院しているか、または通院してくるケースです。ご自宅にお伺いするパターンは特殊な場合を除き訪問看護だけです。しかも基本的に一人です。ご自宅にお伺いするということは、こちらの土俵で仕事をすることができないという意味です。初めて訪問看護の世界に足を踏み入れるなら「全く違う世界に飛び込むのだ」というくらいの気でいたほうがよいでしょう。
 利用者それぞれの生活環境によって勝手が変わります。まったく同じ環境の現場であるということは絶対にありえません。独り立ちまでの同行OJTをみっちり行ってもらい、訪問先で見るべきポイントをしっかり学べる研修環境が必要です。

訪問マナーというものがあるから

 前項と関連しますが、訪問看護は利用者の生活の場に踏み込んでいく仕事です。長く病院にいると「知らないけどとても大切なマナー」に触れる機会がありません。敬語を使うなど簡単に思いつくことだけではなく、気をつけるべきことがもっともっとたくさんあります。それが元でトラブルになったり信頼関係が損なわれるケースもたくさんありますので、自分は大丈夫だと過信せずに吸収しておきましょう。それを教えてくれる研修は必須です。

その場での対応力を求められるから

 基本的に現場では一人です。その場で何か大変なことが起こるというケースは、想像しているよりもだいぶ少ないと考えてください。ただしそのケースに当たってしまったら初動は訪問者に委ねられます。
 でも研修で対応方法を教えられていれば不安になる必要はありません。心肺蘇生の一時救命処置と一緒で、訪問看護ステーションには緊急時の段取りや手順が定められているはず(であるべき)です。研修でそれを教えられずに訪問に行ったりオンコール当番になったと考えるとゾッとしますね…。

多職種連携が必須だから

 訪問看護ステーションだけで完結する仕事はまずありません。ケアマネジャーや病院などの医療施設関係者、訪問先に入っている別の事業者など、情報共有や協働など常に横のつながりが求められてきます。どんなときにどういう報連相が必要でどのように連携を取るのかを事前に学んでおく必要があります。

求人情報から事業所の研修体制や教育についての考え方を推し量る方法

 上記で「推し量る」と書いてあるとおり、求人情報だけで研修体制を100%知ることはできません。ただ、もし研修に積極的で教育に力を入れてその大切さを理解している事業所であれば、少なからず求人情報のどこかにそれとわかる内容が記載されているでしょう。

「教育制度が充実」
「安心して独り立ちできるまで同行&フォローします」
「1ヶ月間は先輩の訪問に同行していただきます」
「訪問開始までは○○時間の座学研修で安心」

 こんなフレーズやキーワードがあれば、研修期間中の教育に熱心に取り組んでいると、ある程度判断して差し支えないのではと思います。(書いているのにやっていないなんて普通はないですよね、という前提です)

 訪問看護のニーズが高まっていることもあり、看護師の中でも訪問看護の求人倍率は一番に高いご時世です。セラピストだって充足していません。採用側の話でいえば、せっかくこの業界に飛び込んできてくれたり、数あるステーションの中から選んでくれた求職者を逃したくありません。ですからその事業所の強みを求人情報にきっちり掲載します。入職しても教育の不備ですぐに辞められるなんてことはしたくないですから、安心して独り立ちできるようにフォローしていくのは当然の話です。そして求職者の皆さんもそれに応える。職員が安心して働けることが大前提で、それはひいては利用者の安心にも繋がりますから。
 ただし、中には教育の大切さを理解していない事業者もいるかもしれません。求人情報からおおよそ推し量ることができたとしても、面接や問い合わせで実際に教育に対する考え方を聞いてみるようにしましょう。

 もちろん字数の制限などで求人媒体に書ききれないこともありますから、気になるステーションがあったらまずは話をしてから判断してみてください。

    • 入職後の研修の内容
    • 事業所内の教育体制と教育に対する考え方
    • 独り立ちするまでの流れ
    • 緊急時のルールの有無

 このあたりを確認して、求職者であるあなたが安心できれば合格だと思ってよいでしょう。中途半場な状態で現場に送り込まれる状況ならば、いずれにしたって辞めたくなるのは目に見えていますが…。

この記事を提供しているライター
千葉県内訪問看護ステーションの元管理者。訪問看護を含め地域医療・介護・福祉の魅力を伝えるため、ホウカンジョブを運営している。
看護師 田中 良平
ホウカンジョブ事務局
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