訪問看護師は状態観察や医療処置以外にも、利用者の方々が在宅療養をサポートするためにいろいろなことをしています。
 私自身、病院で長年勤務し、訪問看護師になるためにケアマネージャーの資格も取得して下準備を整えていましたが…、まだまだ新しいことが待っていました。訪問看護師になってから勉強したことについてひとつご紹介いたします。

えっ、リハビリテーションを希望?

 訪問看護には、急性期病院退院の流れからケアが必要なケース、グループホームや障害者就労支援施設などでの状態観察がメインのケースや、精神科や看取りに特化したステーションなど、事業所によって主として扱う訪問内容には違いがあります。私が勤務する訪問看護ステーションは医療と介護保健の割合が6:3と医療の利用者が多く、障害者手帳を持っておられる難病の方(パーキンソン病、ALS、進行性角上麻痺など)や脳梗塞後の方が多く利用されているステーションでした。セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)がステーションに7~8人ほど在籍しているので、必然的にリハビリ目的の依頼が多くなります。看護師は一般に医療処置や状態観察で訪問するのですが、中には看護師によるリハビリを希望されるケースに遭遇することもあります。

 さて、困りました。病院に勤務していた時はリハビリ専門職がリハを行っていました。特に理学療法や摂食訓練系については、リハビリ専門職に評価から実施までほぼ丸投げ状態でした。しかし、訪問看護ではときに自分がメインとなってリハビリを行う必要があります。セラピストと看護師が共同で介入している場合はアドバイスをもらいながらメニューを組んでもらって実施できますが、看護師だけの訪問の場合、アセスメントから実施まで自分で行わなければなりません。

 そんな訪問看護特有の事情もあり、訪問看護に入職してからリハビリについてだいぶ学習しました。特に嚥下については寝る間も惜しみつつ勉強しました。誤嚥させれば命に関わりますから大事なリハビリです。パーキンソン病の利用者のために「棒体操」についても勉強しましたし、理学療法的な運動をしながら、発声(パタカラだったり好きな歌だったり)を組み合わせたりして脳の活性化を促します。そういったレパートリーを徐々に増やしていきながら、看護師リハでも最良の成果が出せるように学ぶこととなりました。

 私は、保健師・ケアマネージャーの資格を取得していますので、介護保険や福祉についての知識についてはあまり困りませんでしたが、前職が病院勤務の方は入職してから勉強していました。また、大手の訪問看護事業者は本部で訪問看護に必要な知識を研修されてから現場に入る流れが多いようですが、小規模のところは自分で学習することが必要です。

新しく身につけられるスキルはたくさんある

 訪問看護ステーションによって得意とする分野は異なりますが、いずれにしても、訪問看護師になっても勉強をしていく必要があること、新しく覚えるべきことはたくさんあります。インターネットでもいろいろな動画や記事が配信されて勉強しやすい環境になっていますから、新しいことにもぜひトライしてみるようにしてください。

この記事を提供しているライター
看護師、保健師、介護支援専門員、養護教諭などの資格を持つ。総合病院で内科・外科・小児科・泌尿器科・亜急性期病棟・緩和ケア病棟などに18年間努めた後、長年の夢を叶えるため訪問看護の世界に飛び込む。
看護師 上村 亜貴
ホウカンジョブ事務局
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